2008年5月6日火曜日

Source

親しくしている人からの紹介で、Mike McManusというアメリカ人の書いた「Source」という本(末尾参照)を読んだ。人がやっていてワクワクすることにこそ、その人の生きがいの源(Source)がある、というテーマで、日本語にも「好きこそ物の上手なれ」という諺があるが、自分がワクワクすると感じることのみを残らず全部やることこそが生き生きとした幸せな人生を送る上で極めて重要である、嫌なことややりたくないこと、会いたくない人に時間やエネルギーを使ってはいけない、ということが主題だ。言われてみると当たり前のことのようであるが、現実には、「好きなことや好きな人とだけで生きていける人生などない」、というのが常識的な社会通念であるとすれば、非常に逆説的な主張でもある。単純に言えば、いい学校を卒業し、収入のいい仕事について、欲しいものを何でも手に入れる、というような生き方が「幸せ」の基本のような物質主義中心の通念があるとすれば、その中で我々は、知らず知らず、幾多の「何々すべき」「何々してはならない」等という多くの世の中の教えにがんじがらめにされて育ってきた。「趣味と仕事は違う」「好きなことだけやってても食っていけない」「嫌な仕事に耐えてやり抜いてこそ人は育つ」等々の概念を押し付けられているうちに、人は次第に自分が本来心の底からワクワクするものを置き去りにし、自由な生き方のエネルギーを減衰させて行く、気が付くと、自分の好きなことよりも、周囲の評価や期待を軸としたストレスフルな借り物のような人生を生きる羽目になる、もっと、自分自身が自分の人生の主人公である本来の生き方を取り戻すべきだ、そしてその為には、子供の頃や若い頃、どんなことに寝食を忘れて熱中していたか、全部思い出してみよう、そしてそれをSourceとして人生を再構築しよう、と呼びかけている。そしてその考えを自ら実践すると同時に、セミナー等での啓蒙活動にも励み、多くの人が彼の教えによって生き方を変えた実例を紹介している。彼は言う、

「人が取るべき責任ある行動はだたひとつ。自分が心からしたいことをすることである。それが人生でもっとも責任ある行動であり、その人が負う最高の責任である」

現実に一歩踏み出すには勇気の必要な主張でもあるが、我々の人生を真剣に考える上での一つの考え方として大いに参考になる名著であると思った。2~3時間もあれば一読できる内容なので、ご興味のある方にはお薦めします。

1 件のコメント:

ksato さんのコメント...

この日本語訳が出た直後に読んだなぁと思い、本棚を探したら出てきました。99年の初版本です(その後、版を重ねてないかも知れませんが...)。

読んだ時には「そうそう、その通り。でも当たり前だよね」と思った覚えがあります。でも、今の自分がこの通りに出来ているかというと必ずしもそうではなく、考えさせられますね。

これも再読リストに追加しました!